宝塚と本を愛する図書館員のブログ

宝塚歌劇団と本、ときどきアート。宝塚作品の原作にハマりがちです。

シティーハンターで宝塚を初めて観る方へのプレゼン資料

シティーハンター宝塚大劇場でやるということで、宝塚に全く興味がない友人を誘ってチケットを手配していました。
緊急事態宣言などがあって結局彼女の観劇は叶わなかったのですが、彼女のために事前に作ったプレゼン資料があり、誰の目にも触れずに捨てるのが惜しくなったので、これから東京で初観劇される方のために載せておこうと思います。
私自身、観劇前に初日ダイジェスト映像だけみて書いたのでネタバレ要素はほぼありません。

 

シティーハンター」主な出演者紹介

トップスター 彩風咲奈(冴羽遼)

93期主席入団。足の長さが1.5メートル。顔の大きさは15センチ。
どこにいてもすぐに見つけられる圧倒的なスタイル。常人離れしたフェアリー揃いのタカラジェンヌの中にいても作画が違う。
それに加えて、腐女子なら嫌いな人はいないであろう「三白眼」属性持ち。
新人の頃から人気、実力、劇団からのプッシュすべてを持ち合わせたスーパーエリート。宝塚界の羽生結弦
漫画原作の経験も豊富なので、遼ちゃんの魅力である女好きな部分を宝塚的にどう料理するのか注目したい。
また、声が格好いいのであの名曲の登場に期待が高まる。

 

2番手 朝美 絢(ミック・エンジェル)

95期。宝塚でも1、2を争う超絶イケメン。
主にジャニ界隈のオタクを宝塚沼に引きづりこむことを得意としている。
温度低めの清涼系が多い雪組主要メンバーの中で、オラ芸からピュア系までマルチにこなす。
ショーでの音のでるようなバチコンウィンクにも期待。
運転が得意など私生活もかなりイケメンらしい。
原作のミック知らないので役については何とも言い難いのだけれど、金髪の朝美絢に万が一にも間違いはないのでお楽しみください。

綾 鳳華(槇村秀幸

98期。宝塚生まれ宝塚育ち生粋の宝塚っ子。
細くて優しい顔だちのアイドル系男子と思いきや、あつい男役魂の持ち主。
キュートな見た目に反してダンスはキレキレ、そして客席を釣るような鋭い視線を投げたりする。
学校にいたら一番モテるタイプ。
正直、槇村兄役が似合うビジュアルではないが、声の作り方や所作でどこまで原作に寄せてくるか注目。

縣 千(海坊主)

101期。正統派の男役らしい端正な舞台姿とキレのあるダンスで新人の頃より抜擢を受けている未来のトップスター候補。
最近流行りの和風スッキリ系美男子だが、今作はお芝居がバンダナ+サングラスになるので、ショーでたっぷり顔面を見てほしい。
ポスター画像が公表された時点で宝塚オタクだけでなくシティーハンターオタク界隈でもプチバズっていた海坊主のビジュアル。
茶店オーナ時のエプロン姿も期待しかない。高い身体能力を活かしたアクションシーンも必見。

娘役トップスター 朝月希和(槇村香)

96期。垂れ目で小柄でかわいい系の娘役さん。
宝塚では在団10年目を超えて娘役トップスターに就任するのは珍しく、ベテランらしい穴のない舞台技術で組を支える。
特に男役を立てるの芸に秀でており、彼女が側にいると男役が格好良く見える。
お芝居では昭和ルックで決めてしまっているが元々メイクや髪型のセンスがいいので、ショーでのヘアメイクにも注目。

(おまけ)ショー「Fire Fever!」について

お芝居と違ってショーは衣装がほぼ同じ。個人を特定するのが初見の人には至難の技なのであきらめましょう。

全員で出てくる場面では、大体以下の通り。

縣 朝月 彩風 朝美 綾
    (中央)

事前に知っておいてもらいたいのが、宝塚名物のロケットダンス。
普段はかわいい下級生が30人くらいで踊るのに対して、今作ではトップスター以外全員参加。
元は女なのに、可愛い足出し衣装を着るとどうしてもオカマに見えてしまうベテラン男役たちのロケットに注目されたい。

【星組】モアーダンディズム初日の感想

前回の続きです。

【星組】柳生忍法帖の初日感想 - 宝塚と本を愛する図書館員のブログ

 

幕間にロビーをフラフラしていると岡田先生がいらっしゃいました。スーツにハットをビシっと決めて最高にダンディー
この人なら愛月さんの退団を任せられる!と誰目線か解らない事を思い、いよいよレビューのはじまりです。

男役を愛し男役に愛された愛月さんの白軍服

この前が中詰で、愛月さんも出てらっしゃるのです。
なので場面の初めに水色軍服を着た若手士官たちが歌って場を繋ぐのですがまぁまぁ長い。
けれど、焦らされるほどに期待が高まります。

そして愛月さんが白軍服で現れた刹那、周りの方全員オペラあげていました。視聴率100%。

礼さんが稽古場レポートで言っていましたが、これが愛月さんの本職なんですよね。
めちゃくちゃ眩しいです。品がすごいです。愛月さんの前世は本当にどこかの国の王子様だったんだと思います。

普段の生活でこんなに美しいものを目にすることはないので、宝塚は本当に現実と切り離された夢の世界だなと実感させられます。
そうして、私はこういう宝塚の夢夢しい部分が好きなのだと。

そして愛月さんの隣には水色の軍服を着た天華さんと極美くんが。心底トイストーリーに出てくる緑のヤツみたいに目が3つ欲しくなりました。
見どころが多く忙しい場面ではありますが、極美くんの軍服は見ないと損しますのでどうにか見て下さい。

 

ダンディズムシリーズの名場面たち

今月はスカイステージでダンディズムシリーズを一気に放送していて、それらを履修してから初日を迎えたのでプロローグであの歌を聞いたときは感動しました。ダンディーダンディーというあの曲大好きです。

キャリオカも良すぎて体感30秒くらい。

ただ、ここまでは他の組でやってもイケるんじゃないかな、という感じではあったのですが「ハードボイルド」を見てそんな考えを持ったことを大反省。
礼さんはVERDADでまた成長したと言われていますが、歌が何というか想像の上をはるかに超えていく上手さで。
「俺が抱きお前が抱く」というすっごい歌詞のあの曲を完璧に我が物にしていました。
「オォィ!」って掛け声がまた格好良くて、もちろんダンスもすごくて、あんな可愛いいお顔でダンディズムまでこなしてしまう無敵の礼真琴。
礼さんにはあまり生き急がなくていいよ、って言いたくなりますね。できるだけ長く在団して欲しいというのが全ヅカオタの総意ではないでしょうか。

あとは、ハードボイルドの冒頭が瀬央さんと綺城さんのタンゴだったんですが、2人ともダンスの方ではないにせよ「こんなに?!」とびっくりするくらいぎこちなく、初日って感じがしました。
2人とも一生懸命で可愛かったです。

最後はアシナヨ

今回はダンディーがテーマということ、そして愛月さんの退団公演ということで、舞空さんの出番が少なめな感じでしたね。

いつも2人で爆踊りするデュエットダンスも3人での場面となりました。

まず礼さんが「アシナヨ」を歌いあげます。
愛月さんのお芝居での役が「芦名」だったので「アシナヨ」という音に妙に反応してしまいました(笑)

それから愛月さんの歌をバックにトップコンビのデュエットダンス。
そして最後は3人でご挨拶。愛さんファンの方々は嬉しかったんじゃないでしょうか。

礼さんと愛月さんの相性が本当に良かっただけに、これが最後なんてつくづく残念です。

 

階段降りはほぼ順当

ここにきてエトワールが有沙さん。歌はお上手ですが別箱ヒロインを重ねた後に今さらエトワールをしなくても…
ここは若手にさせてあげても良かったんじゃないかと思いましたが、星組は若手娘役さんをなかなか抜擢しませんね。


階段降りは

小桜 極美

天華 綺城

瀬央

愛月

舞空


お芝居で目立っていた天飛くんですがレビューでは他の下級生と変わらぬ扱いで、真ん中降りならずでした。
この辺はしっかり学年順なんですよね。
極美くんが天華、綺城を抜くというような事もなかったです。

そもそもレビューでは歌をもらっていたのが瀬央さんまでで、綺城さん以下はほぼバックダンサーに徹していた感じなので、ちょっとそれは残念でした。

ファイヤーフィーバーでは縣くんメインの場面があったし、綾さんも朝月さんと真ん中に立つ場面があったので。

まぁ、愛月さんそっちのけで若手の場面バンバンの方が闇を感じるので今回は仕方ない。次に期待したいと思います。

【星組】柳生忍法帖の初日感想

友の会が初日のチケットを当ててくれたので行ってきました、星組初日。
ある程度ネタバレ含みますのでご注意ください。

誰得な柳生忍法帖

あの最高すぎて震えたロミジュリを経て、VERDADも高評価で(ワタシ行ってないけれど)、『桜花に舞え』の八木長輝以来の礼さんの本格和物、と期待がいや増すばかりの星組の初日だったのですが、個人的にはうーんという内容でした。


そもそも次々に敵を倒してラスボスに至る…というストーリ、宝塚に向かないと思うのです。

このパターンはあの月組夢現無双』によく似ており、奇しくも同じ2番手さんの退団公演というところも同じ。
主人公が出ずっぱりで敵役はちょっと戦って倒されて出番終わりになってしまうので2番手以下が存在感なくなっちゃうんですよね。

今作でも美味しいのは主人公の十兵衛と沢庵和尚(天寿さん)くらいで、退団公演にも関わらず前半ほぼ出番なしの愛月さんのファンはどう思ったのでしょう。


それでも、愛月さんの見せ場を増やすために芦名再興や天海僧正のくだりに重きを置いた印象はあり、その分男役スター詰め込んだ7本槍のキャラが薄くなってしまいました。
彼ら、凶悪さも強さも全然感じられないので、寄ってたかって串刺しにする女達の方が悪く見えちゃいましたよ。

逆に堀の女達は出ずっぱりですが、もう少し彼女達のわちゃわちゃ場面を短くした方が良かったのではと思います。
娘役は男役の添え物だとはいいませんが、お客のニーズはそこにはないだろ、という感じだったので。
(その点シティーハンターは男役さんが輝いた上で娘役さんにもいい役がたくさんついていて良かったです)


もうひとつ気になったのが、シリアスなのかコメディなのかよくわからない空気感。

人がバタバタ死ぬのにストーリーが忙しすぎてどうもシリアス感がなく、新喜劇で人が死んでいるような感覚。
十兵衛とゆら(舞空さん)のラブの下りも笑っていいのか真面目に受け取っていいのか解りませんでした。客席では笑いがおきていましたけれどね。

この辺りは公演が進んでいくうちに組子さん達が調整されていきそうな気もしますが、初日の段階では微妙な感じでした。

とは言っても星組には礼真琴がいる

ネガティブな事を書き並べてしまいましたが、どんな作品にでも「通える」ポイントを見つけ出すのがヅカオタの常。
礼さん十兵衛の低音ボイスには痺れました。本当良い声ですよね。
また、殺陣はもちろん普段のシーンの体づかいも強者のそれで、タカラジェンヌの域を超えた身体能力に惚れ惚れしました。

本作はずばり、十兵衛の魅力をみせる為の作品だと解釈しましたので、次回の観劇の際は何も考えずに礼真琴さんを堪能したいと思います。

気になる若手の今後

最後に、個人的にマーキューシオで大ブレイクした天華えまさんの活躍を期待していたのですが、早々に退場してしまい歌のソロパートもなし。
かたや極美くんは最後の方まで生き残り7本槍の中では結構目立っていました。
今まではニコイチ扱いでしたが少しずつ差がついてきて、2人とも好きなので複雑な気持ちになりました。

そして、その極美くんよりおいしい役まわりだった天翔くん。

星組は瀬央さんの下は団子状態ですが、天翔くんが抜け出してくるのでしょうか。