宝塚と本を愛する図書館員のブログ

宝塚歌劇団と本、ときどきアート。宝塚作品の原作にハマりがちです。

【星組】柳生忍法帖の初日感想

友の会が初日のチケットを当ててくれたので行ってきました、星組初日。
ある程度ネタバレ含みますのでご注意ください。

誰得な柳生忍法帖

あの最高すぎて震えたロミジュリを経て、VERDADも高評価で(ワタシ行ってないけれど)、『桜花に舞え』の八木長輝以来の礼さんの本格和物、と期待がいや増すばかりの星組の初日だったのですが、個人的にはうーんという内容でした。


そもそも次々に敵を倒してラスボスに至る…というストーリ、宝塚に向かないと思うのです。

このパターンはあの月組夢現無双』によく似ており、奇しくも同じ2番手さんの退団公演というところも同じ。
主人公が出ずっぱりで敵役はちょっと戦って倒されて出番終わりになってしまうので2番手以下が存在感なくなっちゃうんですよね。

今作でも美味しいのは主人公の十兵衛と沢庵和尚(天寿さん)くらいで、退団公演にも関わらず前半ほぼ出番なしの愛月さんのファンはどう思ったのでしょう。


それでも、愛月さんの見せ場を増やすために芦名再興や天海僧正のくだりに重きを置いた印象はあり、その分男役スター詰め込んだ7本槍のキャラが薄くなってしまいました。
彼ら、凶悪さも強さも全然感じられないので、寄ってたかって串刺しにする女達の方が悪く見えちゃいましたよ。

逆に堀の女達は出ずっぱりですが、もう少し彼女達のわちゃわちゃ場面を短くした方が良かったのではと思います。
娘役は男役の添え物だとはいいませんが、お客のニーズはそこにはないだろ、という感じだったので。
(その点シティーハンターは男役さんが輝いた上で娘役さんにもいい役がたくさんついていて良かったです)


もうひとつ気になったのが、シリアスなのかコメディなのかよくわからない空気感。

人がバタバタ死ぬのにストーリーが忙しすぎてどうもシリアス感がなく、新喜劇で人が死んでいるような感覚。
十兵衛とゆら(舞空さん)のラブの下りも笑っていいのか真面目に受け取っていいのか解りませんでした。客席では笑いがおきていましたけれどね。

この辺りは公演が進んでいくうちに組子さん達が調整されていきそうな気もしますが、初日の段階では微妙な感じでした。

とは言っても星組には礼真琴がいる

ネガティブな事を書き並べてしまいましたが、どんな作品にでも「通える」ポイントを見つけ出すのがヅカオタの常。
礼さん十兵衛の低音ボイスには痺れました。本当良い声ですよね。
また、殺陣はもちろん普段のシーンの体づかいも強者のそれで、タカラジェンヌの域を超えた身体能力に惚れ惚れしました。

本作はずばり、十兵衛の魅力をみせる為の作品だと解釈しましたので、次回の観劇の際は何も考えずに礼真琴さんを堪能したいと思います。

気になる若手の今後

最後に、個人的にマーキューシオで大ブレイクした天華えまさんの活躍を期待していたのですが、早々に退場してしまい歌のソロパートもなし。
かたや極美くんは最後の方まで生き残り7本槍の中では結構目立っていました。
今まではニコイチ扱いでしたが少しずつ差がついてきて、2人とも好きなので複雑な気持ちになりました。

そして、その極美くんよりおいしい役まわりだった天翔くん。

星組は瀬央さんの下は団子状態ですが、天翔くんが抜け出してくるのでしょうか。